2016~2017年度「政策・制度要求と提言」

2016~2017年度県施策に関する

連合栃木「政策・制度要求と提言」

(2016.7.15 知事提出)

Ⅰ.雇用の安定と公正労働条件の確保

(雇用労働・中小企業政策)

1.雇用の安定と公正な処遇の確保

(1) 各自治体と連携し、地域の特性を活かした雇用創出と地域再生を促進するとともに、安定した雇用を確保すること。「実践型地域雇用創造事業」は各地域の特性を捉えて対象産業の雇用総数目標を達成させるとともに、事業終了後の雇用維持・継続を促進すること。また、各地域協議会においては、労働団体も含めた関係者(経済団体、地域有識者など)との連携を強化し、地域での人材確保・人材育成・公正な処遇確保・起業促進をはかり、UIJターンを含む地域における若者の就労を積極的に支援すること。

 

(2) 雇用の原則は「期間の定めのない直接雇用」であることを基本とし、非正規雇用から正規雇用への転換を促進すること。有期契約、パートタイム、労働者派遣、請負などの非正規労働者の常用雇用・基幹化により、正規労働者と非正規労働者の職務の内容や働き方が近づいていること等を鑑み、雇用形態にかかわらない均等待遇原則の法制化を国へ要望すること。

 

(3) 昨今問題となっている過労死問題や、若者の使い捨てが疑われているいわゆる「ブラック企業」問題等に適切に対処するため、栃木労働局や県内各自治体と連携し、過剰労働解消と法令遵守の取り組みを充実・強化すること。労働相談が寄せられる企業について、栃木労働局と情報共有をはかり、悪質な企業に対し改善指導を行うとともに、求人票、求人広告における労働条件の明示について独自に強化するなど、若者が安心して県内で就職活動を行うことができるための必要な措置等を講じること。

 

(4) 高齢化の急速な進展に伴い顕在化している介護離職の問題に歯止めをかけ、安心して仕事と介護が両立できるよう、改正育児・介護休業法の周知徹底をはかり、県や企業における両立支援制度の情報提供と相談窓口設置の促進等の就業環境整備を進めること。

 

(5) 障がい者差別の禁止と合理的配慮の提供義務化に加え、2018年4月には精神障がい者を雇用義務制度の対象となることを踏まえ、一定程度の水準を確保した上で障がい者の就労支援の拡充・職域拡大をはかること。また、中途障がい者や在職中に難病を発症した労働者の雇用継続に向けた施策を早急に検討すること。

 

2.雇用における男女平等と女性活躍の推進

(1) 男女があらゆる分野で個性と能力を十分に発揮し活躍できるよう長時間労働など男性の働き方の見直しや性別役割分担意識に基づく慣行の払拭に取り組み、公共調達において仕事と生活の両立に資する評価指標を求め、県内行政への普及をめざすこと。また、2015年1月に設置された「働き方改革推進本部」の事業内容をいかし、ワーク・ライフ・バランスの取り組みの促進・支援など、施策の拡充をはかること。

 

(2) 女性活躍推進法に基づく事業主行動計画の積極的な策定や、計画に基づく実効性ある取り組みをすべての企業・団体に促すため、とりわけ中小企業に対する支援を拡充すること。特に、①2015年新規に立ち上げた「女性活躍ネットワーク事業」の内容、取り組み状況を広く公開すること。②キャリア・マネジメント講座の拡充と、能力開発講座の地域偏在を早期に解決するとともに、幅広い労働者層を対象とする講座を開設すること。

 

(3) ハラスメントは複合して行われる場合も多いため、セクシュアル・ハラスメント、マタニティ・ハラスメント、ジェンダー・ハラスメントや性的マイノリティに対するハラスメントなど、あらゆるハラスメントに対して相談体制の整備や事後対応をあらかじめ定めておくこと等、職場が一元的に取り組むよう事業主に対して措置を講ずること。

 

3.すべての労働者に対する職業能力開発施策の充実・強化

(1) 障がい者、ひとり親家庭の親(特に、母子家庭の母)、生活保護受給者などについて、居住地近隣での職業訓練機会を拡充するとともに教育ニーズに基づくカリキュラムの見直しを行うなど、自治体・地域の教育訓練機関・公共職業安定機関(ハローワーク)などが一体となり、就労に向けたきめ細かな支援を行うこと。

 

(2) 技術・技能の継承や人材の確保・育成などについて課題を抱えているものづくり産業の中小企業に対し、関係部局の連携を強化し、高度熟練技能者の活用、人材の確保、育成に関する支援措置を拡充すること。

 

Ⅱ.すべての世代が安心できる社会保障制度の確立
(福祉・社会保障政策)
1.社会保障制度の基盤と人材確保策の拡充

(1) 社会保障給付の抑制を前提にすることなく、誰もが必要な時に必要な支援を受けることのできる社会保障給付を確保すること。また、消費税率引上げによる財源はすべて社会保障の充実および安定化に活用することを国へ要望すること。

 

(2) 医療機関による勤務環境改善マネジメントシステムの実施状況を把握し、取り組みを普及させるとともに、休暇取得や夜勤負担など労働条件の改善を通じて人材の離職防止をはかるほか、復職や新たな担い手をめざす人への支援を充実するなど、人材確保対策を強化すること。

 

(3) 介護職の処遇ならびに雇用管理の改善を強力に進めるとともに、専門職としての社会的地位を確立し人材の離職防止をはかるほか、復職や新たな担い手をめざす人への支援を充実するなど、人材確保対策を強化すること。

 

(4) すべての子どもに対するより良い保育・幼児教育環境を確保するため、認定子ども園・幼稚園教諭・保育士の処遇改善とキャリアアップ体制を構築し、保育などを担う人材の離職防止をはかるほか、復職や新たな担い手をめざす人への支援を充実するなど、人材確保対策を強化すること。併せて、病児・病後児保育の体制強化をはかること。

 

(5) 生活困窮者が増加する中で、県および各自治体は「生活困窮者自立支援法(2015年4月施行)」に基づき、総合的な支援体制・実施策を検証し、事業の質の改善を行うべく、特に次の事項に取り組むこと。①生活困窮者の実状を把握すること。②ワーキングプア等若年層への相談支援体制の整備・拡充や就労・学習の機会を確保すること。③ホームレス状態に置かれている場合、居住する住宅を確保し就職に向けた自立支援の充実をはかること。また、生活困窮者の自立促進に必要な事業支援をNPOや社会福祉法人、社会福祉協議会、自治体などへ積極的に働きかけること。

 

良質な医療・介護サービスの確立

(1) 本年3月に策定した「栃木県地域医療構想」の達成に向けた施策の進捗状況を定期的に報告・検証し、改善が必要であれば都度早急に施策を見直す仕組みを確立すること。また、取り組み推進において、保険者や被用者保険の加入者をはじめとする住民の意見を反映させること。

 

(2) 市町が中心となる介護予防・日常生活支援総合事業の展開に際しては、地域間の格差が生じないよう、県は各自治体の取り組み状況をモ二タリングし、随時フィードバックを行う体制を構築し、サービス水準の向上をはかる等、市町に対して必要な支援を行うこと。

 

(3) 入院医療から在宅介護まで、医療と介護の連携を強化すること。また、在宅医療、退院支援や訪問介護の強化とその体制整備に不可欠な看護師の配置増を推進すること。これらを踏まえて、地域医療介護総合確保基金を「地域包括ケアシステム」の構築や人材確保に資する事業に活用すること。

 

3.障がい者自立支援への体制拡充

(1) 障害者差別解消法を実効性あるものとするため、「栃木県障害者差別解消推進条例(2016年4月施行)」に基づき、相談体制の整備や普及啓発に取り組み、共に支え合う地域社会の実現をめざすこと。特に、①県は各自治体における障がい者差別解消地域協議会の設置を促進するとともに、同協議会への障がい当事者の参画を保障し、意見を反映する措置を講ずること。②障がい児・者の家族の負担を軽減し、仕事と家庭とを両立できるための障がい福祉サービスの在り方や支援体制の整備を行うこと。③親なき後の問題に備え、早急に支援対策を講ずること。

 

4.子ども・子育て支援新制度の着実な実施

(1) 小学校就学前の子どもの育つ環境が、保護者の就労や経済状況などによって異なることなく、すべての子どもに対するよりよい保育・幼児教育環境を確保すること。幼保連携型認定こども園の設置基準・職員配置基準については、子どもの安全と育ちの保障を重視し、最低基準を設け、必要な改善を行うこと。また、基準を満たすための財政支援や資格取得支援の強化などを行い、既存の保育所および幼稚園の幼保連携型認定こども園への移行を促進すること。

 

(2) 妊娠・出産・育児期に離職することなく働き続けられるように、就業環境整備の促進や、改正育児・介護休業法を含めた関係法令の周知徹底をはかり、保育所や放課後児童クラブ等の待機児童対策を確実に実施すること。併せて、休日保育の充実をはかること。

 

Ⅲ.持続可能で健全な経済の発展
(経済・産業政策)
1.地域産業への支援強化

(1) 地域経済の活性化に向けて、県は自主的・主体的に地域産業を支援・育成し、良質な地域雇用を創出できるよう市町と連携し市町の活性化をはかること。また、県の重点戦略「とちぎ元気発信プラン」、本県版まち・ひと・しごと創生総合戦略「とちぎ創生15(いちご)戦略」等における産業・雇用政策の実効性を確保するため、産官学金労言などによる推進組織のもとで個別施策の整合性をはかり確実に実施すること。

 

(2) IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ビッグデータ、人工知能等の技術革新に的確に対応するために、企業のイノベーションによる新たな価値の創出に向けた設備投資や研究開発を支援すること。また、サイバー攻撃に対して産官学が協力して対策を講じるとともに、早期の情報共有や技術開発、人材育成などを行うこと。加えて、産業構造の変化に対応した働く者の学び直しや企業の職業能力開発に対する支援を強化すること。

 

(3) 中小企業・小規模事業者の事業革新や新陳代謝に必要な設備投資支援を拡充し生産性向上をはかるとともに、産業界と教育機関等が連携し、グローバル化を担う人材や中核的人材の確保と育成、技能・技術の伝承の充実、支援を行うこと。また、県の中小企業支援センターの拡充を通じ、ワンストップサービス実現の体制を整えること。

 

(4) サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正な分配を実現するため、企業間における公正かつ適正な取引関係確立に向けて、取引の実態把握、監視体制の強化を通じ、下請法をはじめとする法令の遵守・徹底をはかること。特に、為替変動や資材高騰、物価上昇などに伴い増加したコストを適正に価格等に転嫁することや、消費税の円滑かつ適正な転嫁確保のために価格転嫁を阻害する行為の是正措置等を着実に実施すること。

 

(5) 2017年・2018年の「ツール・ド・とちぎ(自転車ロードレース)」や、2018年4~6月の全国規模の観光地PR「デスティネーションキャンペーン)」、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催等を好機として、県内各地の魅力を発信し、国内外からの観光誘客強化に取り組み、観光産業の振興をめざすこと。本産業は、雇用創出量が大きく、経済波及効果も見込めるため、観光案内所の増設、交通機関等での多言語表記、ICTを活用した多言語情報の提供等ハード面の整備を進めるとともに、通訳案内士の養成等多言語人材の育成を推進し、地域と連携した体制で取り組むこと。

 

(税財政改革)
2.県財政の健全化と県民サービスの確保

(1) 「財政健全化取組方針」の期間終了後も、県民生活の向上と持続可能な財政経営が営まれるよう新たな財政健全化計画を策定し、自律的な行財政基盤の確立に取り組むこと。

 

(2) 今後、大規模公共事業(総合スポーツゾーン整備)等が本格化する中、財源不足が見込まれることから、次のことを重視し、財政構造の抜本的改革を実施すること。①県民ニーズの検証や費用対効果等の観点から、各部局の事業内容を精査見直しし、新たな行政需要に的確に対応していくこと。②県民が将来にわたり安全で安心して暮らせる施策に重点配分し、歳入歳出の徹底した見直しを行うなど必要な財源を確保すること。

 

(3) マイナンバー制度が確実に運用され定着するよう、県民全体への周知や事業者への指導を進めるとともに、個人情報の厳格な保護やなりすまし防止等、制度に対する県民の不安を払拭するための措置を講じること。現行のマイナンバー法で定められた社会保障・税・災害対策の三分野以外の利用については、県民への丁寧な説明と合意形成をはかることを前提に、安全性の確保、行政の効率性の向上および県民生活の利便性の向上が認められる項目のみを対象とする等、市町と連携し対応すること。

 

(資源・エネルギー政策)
3.安定的な資源・エネルギー供給の推進

(1) 「とちぎエネルギー戦略」で策定した太陽光発電の目標値を2030年迄待たず至近年で大幅に超過すること。また、「託送料金」「賦課金」など県民負担抑制の観点から、これ以上のメガソーラー開発を規制し、メガソーラー以外の安定した出力を得られやすい水力・地中熱・バイオマス等の再生可能エネルギーの普及拡大に政策転換をはかること。また、大規模ガスタービン発電の導入など、至近年に県内の電力事情が激変する今日的な状況を踏まえ、「とちぎエネルギー戦略」の見直しをはかること。

 

(2) 太陽光発電設備の乱開発を踏まえ栃木県内においても懸念事項が増大している。例えば、建築基準法の適用外であるため簡易な設備は強風によりパネルが吹き飛ぶ等の災害発生や、外柵が簡易かつ低い設備もあり人間が誤って侵入した場合感電や火傷等の災害が懸念される。火災発生に伴う消火活動によって感電の恐れがあることも指摘されている。また、宅地に隣接する設備も多く、太陽光パネルの反射により室温が上昇し熱中症被害による訴訟も他県で発生している。

さらに、林野を無造作に切り崩し建設した結果、土砂崩れ災害の誘発をすることも懸念されている。

これらを踏まえ、乱開発防止や県民の安全確保ならびに景観や環境保護にも十分配慮が 必要であり、栃木独自の環境アセスメント条例を制定すること。

 

(3) 省エネルギーに対する意識定着をはかるため、ICTなどを活用した「スマートな省エネルギー」の推進や低炭素社会の実現を目指し、二酸化炭素の排出抑制を十分考慮した各種の再生可能エネルギーの導入を促進すること。また、再生可能エネルギーを最大限有効活用するため蓄電システムとのコラボレーションが効果的であり、普及促進に向け補助金制度を創設し対応している自治体もある。防災対策の観点からも栃木独自の対応をはかること。

 

Ⅳ.社会インフラの整備・促進
(県土・住宅政策、交通・運輸政策)
1.安心・安全な社会とまちづくりの推進

(1) 大規模な災害発生時に備え、平時から「災害時の避難・誘導の仕組み」を整え、住民への周知を行うとともに、自治体の防災会議へ女性・若年者・高齢者・障がい者の参画を保障し、「顔の見える関係」を構築することで災害時の助け合いにつなげること。

 

(2)  東日本大震災や昨年の豪雨災害の経験を踏まえ、非常時に自治体に求められる職種の専門性やノウハウの蓄積を「避難所運営マニュアル」に生かすとともに、避難所の管理運営を担う人材(専門職)の育成を行い、発災時の管理体制を早急に整備すること。必要な物資の供給・配分においては、マイナンバーシステムを有効に活用し、円滑な運用に努めること。

 

(3) 増え続ける空き家が火災や倒壊などによって周辺の住宅や住民に危険を及ぼさないよう対策を強化すること。また、空き家対策を講じる自治体への財政支援を行うこと。

 

(4) 民主党栃木県連(現、民進党)が県内全域を対象にRTD方式*による「世論調査(2015年8月30日)」を実施した。その中の「LRT整備事業に関する設問」の集計結果によると、1)設立予定の第三セクター運営会社の経営については、「赤字になる」57.9%、「黒字になる」7.2%、「わからない」34.9%と回答。2)LRT計画については、「やめるべき」の47.2%が「進めるべき」19.7%を上回っている。また、3)LRT推進の住民投票については、「住民投票にかけるべきだ」70.7%と実施を求める意見は多い。

今後、総合スポーツゾーン整備など大型の公共事業が予定される中、地方創生の諸事業や地域医療再生事業など重要な施策も優先して推進しなければならず、まさに財政健全化を視野に入れた「選択と集中」が求められている。

したがって、「LRT整備事業」については、上記の世論調査結果も踏まえ、県民・市民合意をきちんと得る手続きを宇都宮市や芳賀町に行うよう強く求めるとともに、本事業に関して県議会や県民に対し明確な説明がないままにおいて、整備費や出資金の支出に対する意思決定や軌道運送高速化実施計画の手続きを進めることのないよう慎重な対応をすること。併せて、既存の公共交通機関を軸とした本県の地域公共交通の将来ビジョンを明確にし、県民合意を得ること。

※:RTD方式とは、公表されている電話加入リストからランダムサンプリングしたものを対象者リストとし、このリストに従って自動的に発信(オンコール)し、接続後あらかじめ録音した音声メッセージを再生する。調査の対象者は電話に出られた方で、全門回答(者)のみを有効とし集計。抽出した電話番号はすべて家庭用。サンプル数1,017件。

 

(5)  東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え訪日外国人の増加に伴い、国際空港(特に、成田空港)から県内各地へ円滑に移動・乗換えできる交通機関と交通施設の整備を促進すること。

 

(情報通信政策)
2.ICT(情報通信)政策の強化

(1) 「東日本大震災からの復興の基本方針」(2011年7月東日本大震災復興対策本部決定)において、「地方公共団体をはじめ幅広い分野へのクラウドサービスの導入推進」が盛り込まれる等、災害・事故等に強い電子自治体を構築する観点からも、ICT利活用を促進する必要がある。

ICT利活用については、技術革新の進展をふまえ、社会保障・マイナンバー-制度の導入による国や地方公共団体の情報連携、さらには日本の人口減・高齢化社会に向かう中、行政、街づくり、医療、農業、教育等の各分野における社会的課題解決に向けたICT利活用の促進による安心・安全な社会の実現が期待されており、栃木県における取り組み状況等について明らかにするとともに充実を図ること。

また、利活用の推進に向けては、組織横断的な推進体制の構築が必要であることから、これら推進体制の取り組みを図ること。

 

(2) 「自治体クラウド」は、地方公共団体がシステムのハードウェア、ソフトウェア、データ等を自庁舎で管理・運用することに代えて、外部のデータセンターにおいて管理・運用し、ネットワーク経由で利用できるようにする取り組みである。この取組みはシステムの運用経費の削減や業務の効率化・標準化の観点から重要な取り組みである。また、地方公共団体の庁舎が損壊し、行政情報が流失する被害が生じた東日本大震災の経験も踏まえ、堅牢なデータセンターを活用することで、行政情報を保全し、災害・事故等発生時の業務継続を確保する観点からも重要であることから、自治体クラウドが推進されており、行政情報のクラウド化を図ること。併せて、非常用電源の確保をはかること。

 

(3) 無料Wi-Fiの整備促進等については、観光客などが簡単にインターネットを利用できる環境を実現するとともに、観光情報や県政情報を発信し、県の魅力や旬な情報を伝えるため、無料Wi-Fiの整備促進等を図ること。

また、災害時における緊急情報の発信や、通信回線のバックアップのためにも活用を図ること。

 

(4) 医療・介護においては、遠隔での診療や医療機関における効率化が図れるよう、地域医療連携システム等を用いて、電子カルテ連携、放射線画像診断・遠隔診断など、検査、処方、画像等の診療情報を共有できるよう地域医療連携システム等の推進を図ること。

 

(5) 教育現場におけるICT教育の充実および利用環境の整備を図る観点から、学校間の遠隔教育、電子黒板・デジタル教科書、e-ラーニング等による学習支援など、クラウド等を活用した教育環境等の充実を図ること。

 

(6) 災害に強い通信ネットワ-クの整備を図るとともに、災害時における情報の収集・伝達を行うため、カメラ・センサー等による防災情報収集やIP告知端末・地デジ端末等の多メディアへの緊急共通情報配信を図ること。併せて、情報通信弱者に対する対策を万全にすること。

 

Ⅴ.くらしの安心・安全の構築
(食料・農林水産政策)
1.食料自給率の向上と農林水産業の産業基盤の強化・育成

(1) とちぎの農産物の消費拡大を推進するとともに、農林水産業の担い手を確保・育成しつつ、安定した生産活動の維持・発展、競争力強化に資する経営基盤の体質強化に向けた施策を講じること。また、6次産業化の推進、新たなブランド農産物の開発、輸出に向けた販路開拓などの施策を拡充すること。

 

(2) 生産地から食卓にわたる食品の安全性の確保・品質管理の徹底をはかるとともに、消費者に対する適切な情報提供を行うこと。また、食育や消費者教育の推進、3分の1ルールの見直しを含め、フードチェーン全体の連携強化のための支援を通じて食品ロスの削減を推進すること。

 

2.持続可能な林業の確立と森林整備・保全対策の推進

(1) 県産材の安定的・効率的な供給体制を構築するとともに、木材価格の安定化をはかることは、林業従事者の生活安定と勤労意欲の維持・向上にとって重要な課題である。県は、県産材利用促進のため、とちぎ材の家づくり支援事業の拡大、住宅メーカーへの売り込み、森林認証制度の取得強化による東京オリンピック・パラリンピック関連施設へ採用、未利用間伐材のエネルギー利用など、県内外を含めた県産材需要拡大の取り組みを強化すること。

 

(2) 地域振興・山村振興に向けて、森林等の保全の推進並びに山村における産業基盤及び生活環境の整備と、定住を促進する必要がある。県は、地域の林業事業体(森林組合・林業会社など)の育成に向けて、受注機会の増大、所得の向上に向けた支援や対策を講じること。

 

(3) 県は、管理が行き届かない森林を適切に保全するため、不在村者などが森林経営を委託できる経営管理の方法を、「栃木発もりの未来戦略事業」により早急に構築すること。

 

(4) 多発している土砂災害や豪雨水害などの教訓をいかし、災害・水害を未然に防ぐため、災害がより発生しやすい箇所を特定しつつ森林管理を重点的に行うとともに、斜面の崩壊や堤防決壊等を防ぐ工事などを強化すること。

 

(消費者政策)
3.消費者の保護・救済の強化

(1) 特殊詐欺被害者のうち、65歳以上の高齢者の占める割合は約75%と、依然として高い状況が続いている。増加する悪徳商法・特殊詐欺の撲滅をめざし、消費者への情報提供・注意喚起の徹底や各種広報を行うとともに、新たな手口や形態に対し迅速に対応すること。特に高齢者や障がい者をはじめとする消費者の保護をはかること。

 

(2) 急増しているインターネットをめぐる消費者トラブルについて、多様化・巧妙化している手口や形態を迅速に把握し、消費者への情報提供・注意喚起をはかり、被害の未然防止・拡大防止をはかること。また、悪質な事案については、法令に基づき厳正に対処すること。

 

Ⅵ.民主主義の基盤強化と県民の権利保障
(行政改革)
1.公正な取引関係の実現

(1) 「歩切り」に関する自治体への調査結果(国土交通省、総務省2015年4月28日公表)によると、全国で4割の自治体で違法な「歩切り」が行われていたとされる。県は市町において違法な「歩切り」が行われないよう指導すること。

 

(2) 建設現場における賃金等の労働条件の低下による担い手不足対策として、公契約条例(公共調達条例)を制定し、公共工事など公契約のもとで働く者の適正な労働条件の確保は、産業の魅力を高めるとともに、担い手の育成、技術の継承、質の高い公共サービスの提供などに有効である。地域経済を活性化させるという視点から、公契約条例制定に向けた協議の場を庁内に設置するための予算措置を講じること。

 

(公務員制度改革)
2.公正・公平な公務労働の実現

(1) 地方自治体で働く臨時・非常勤職員の処遇改善、雇用安定をはかるとともに、一時金などの手当が支給可能となるよう地方自治法の改正を国に働きかけること。

 

(教育政策)
3.教育の機会均等の保障と教育基盤の整備

(1) 貧困の連鎖を防ぎ、家庭の経済状況の格差が教育機会の格差につながらないよう、幼児教育の完全無償化、高等学校に通うすべての生徒の授業料無償化、高等教育における無利子奨学金の拡充と給付型奨学金の導入をはかること。

 

(2) 働く上で必要なワークルールや労働安全衛生、使用者の責任などに関する知識を深め活用できるよう、労働教育のカリキュラム化を推進すること。また、自立した社会人としての基本的な知識・意識を身につけるための主権者教育を推進すること。

 

(3) いじめ・体罰問題の解消に向けて、養護教諭を全校に複数配置するとともに、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーをすべての小中学校に常勤配置すること。

①必要に応じて臨床心理士を有するスクールカウンセラーを児童館や放課後児童クラブ(学童保育)、その他児童福祉施設に配置すること。

②学校単位でスクールソーシャルワーカーの配置を行い、学校と連携して子どもの豊かな育ちをサポートする体制を構築すること。

③不登校児童・生徒・中途退学者に対する学びやケアの充実などの環境整備を行うこと。