2020労使地域活性化フォーラムを開催

連合栃木は1月25日、2020労使地域活性化フォーラム(共催:(一社)栃木県生産性本部)を開催しました。県内から労組関係者、経営者ら約150名が参加し、連合本部から逢見直人会長代行にご出席いただきました。

フォーラムの前段では、成蹊大学法学部の原昌登教授から「働き方改革の取り組み」と題して、「同一労働同一賃金」、「職場のハラスメント対策」について、その意義や課題について講義をいただきました。同一労働同一賃金について原教授は、「パート労働者や有期労働者に対して、求められたら、正社員との待遇差の内容・理由を説明しなければなりません。説明できないような違いは、不合理である可能性があります。不合理な相違は禁止されます。」とポイントを解説しました。またハラスメントに関しても「経営側は、ハラスメントは経営にとってマイナスとなるという視点を持つことが必要です。」と指摘されました。

後段では、原教授が進行役となり、ハラスメント防止対策をテーマに、パネルディスカッションを行いました。パネラーには、下平佳子氏(栃木労働局雇用環境・均等室長)、逢見直人連合会長代行、田口裕之氏(栃木県産業労働観光部労働政策課長)、石塚洋史氏(栃木県経営者団体専務理事)、林田七恵氏(毎日新聞社宇都宮支局記者)、吉成剛連合栃木会長らが登壇しました。

ハラスメントに関する法規制では、企業の防止措置が義務化されたことから、各パネラーからは、ハラスメント対策の課題や、世代間ギャップの現状や対策などついて意見が出されました。

 

下平氏

「労働局に寄せられた、いじめ・嫌がらせに関する相談は、昨年度全国で8万2千件を超えています。パワハラやセクハラなどの対策で重要なのは、それを未然に防ぐこと。そのために職場の労使が、ハラスメントを防ぐという共通の認識を持つことが大事だと思います。」

 

逢見連合会長代行

「(パワハラ対策で)難しいのは実効性の確保。法制化されたからといっても、対策はこれからという企業がほとんどだ。ハラスメントは人格・人権を損なう問題があるので、対策は重要だ。また、パワハラの線引きに拘ることより、職場のどこに問題があるのか点検し、パワハラを防止する環境をつくっていくことを心かげていく必要があります。」

 

田口氏

「県内4か所の労働相談でも人間関係やハラスメントの相談が増えています。管理者としては、先輩の指導を受けながら成長してきた思いもあるので、自分の経験をもって話をするが、若い方の立場や、やりかたを考えていくことが大切だと感じます。」

 

石塚氏

「職場環境を良くすることが経営者の大きな役割。ハラスメント対策では、価値観や常識のズレを認識し、それをいかに近づけるかが難しいと感じます。また、指導する側も、自分の弱みを見せらず、相手にプレッシャーを与えてしまうことも要因にあるかと思います。」

 

林田氏

「取材の中で、ハラスメント防止に理解ある経営者も多いが、そうでない経営者もいると感じる。トップからのパワハラがあった時に、被害者を守ることが非常に難しい。」

 

 

吉成連合栃木会長

「安全が重視される製造などの現場では、厳しい指導や教育は当たり前だった。そういった指導が委縮してしまい、労働災害や品質の面で影響が出てしまうことも心配している。また、職場のコミュニケーションが希薄になっていることもハラスメントの起因となっているかと感じる。」

 

原教授

「職場でのお互いの理解の不十分さやギャップをどうやって埋めていくか。また、いかにして防止対策の実効性を高めていくか。職場で声をあげていくときに、どういった環境が必要か、ハラスメント防止のキーワードになってくると感じます。」